海辺と珈琲ことり

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今後ともどうぞよろしくお願い致します。

BOOKLORE(ブックロア)という伝えかた
そして畑尾和美さん「九月の朝顔」について

好きとか嫌いを超越したレコードや本にごくまれに出会うことがあるのですが

得てしてそんなとき、ぼくらは生きてて良かったとか感慨に耽るワケですが

ぼくにとってのそれは、音楽ならば「アフターザゴールドラッシュ」をはじめとする

ニールヤングの一連のレコード群。

 

そして関西を拠点としたちいさなブックレーベル「BOOKLORE(ブックロア)]から生まれる本

たち。

とくに、その中でも畑尾和美さんの「九月の朝顔」という詩集にあたります。

 

「九月の朝顔」は、言葉の本です。

 

言葉といってもいろいろあって、読む言葉に、声に出す言葉。

 

フランス装という丁寧に折り込まれた装丁や、畑尾さん自身が施した、

言われなければ気づかないほどちいさな刺繍、背表紙に押された消しゴムはんこ。

波の輪郭みたいな3色の付箋。

 

それらのひとつひとつが言葉となって語りかけてくるようです。

 

そうやって丁寧に編まれた言葉の本を、言葉で語ろうとするのはひどく困難なことですが

本に出会って、皮膚が頭の先から足の先まで粟立つような感覚に包まれたのは

ぼく個人の経験では生まれて初めてのことでした。

初秋の、夕暮れ時の雨上がりの鎌倉の古書店で、というシチュエーションもいくらかはまり過ぎていたのか知れません。

 

ぼくはこの詩集の中の「osoba shop」という詩がお気に入りです。

 

ぜひお手に取って、語りかけてくる言葉に耳を澄ませてみて下さい。

 

白いインクで押された朝顔と文字です

 

フランス装と呼ばれる装丁方法で仮表紙が包まれています

 

竹紙にちょこんと刺繍が施されています

 

付箋も3つのブルーから選べます